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「水域」作品紹介 その1 [展覧会 / room]

現在Art-U roomにて開催中のチャン・ユンチア個展「水域」も、そろそろ会期中盤に差し掛かりました。非常に緻密な細部表現が特徴のユンチアの絵画作品ですが、そのために来場者の方々も、一点一点じっくりと時間をかけて見て行かれる方が多い様です。実は、昨年最初にクアラルンプールからの作品運送費の見積をとった際、かなりの高額となったため、一時は送ってもらう点数を減らそうかとも考えたのですが、こうして多くの方が丁寧に鑑賞されていく姿を見ると、やはり連作全点を展示できて良かったと思います。

もう一つ、鑑賞の手助けとなっているのが、会場で配布している作品解説。これはユンチア本人が英文で書いたものを拙訳したもので、今回の連作が生まれた経緯と各作品に対するコメントが記されています。この連作では、ユンチアの個人的な記憶や、あるいは日本では殆ど報道されていないものの、マレーシア国民であれば誰もが知っているような事件や出来事が織り込まれた作品が多く、この解説を参照することで、作品をより深く理解して頂けるのでは、と思い用意しました。会期中こちらのブログでも、この解説の中より何点か作品をピックアップして紹介したいと思いますが、まず一回目はこちらの作品。


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「この瞬間」  The Moment 2015年、油彩・キャンバス、75x150.5cm
 
 昔、生きた鶏が市場で売られていた頃、人々は買った鶏を持ち帰りやすいように新聞紙で包み、家で絞めて調理したり、あるいは数ヶ月間飼った後に殺して調理した。当時、新聞紙に包まれた鶏は普通の光景であったが、今はそうではない。その習慣が行なわれなくなって初めて、私は、鶏を新聞紙に丸め込み、紐で締め付ける行為が極めて残酷なことであると気付いた。
 
 この絵の中の新聞紙に見られる記事は、現在マレーシアのメディアを賑わせている幾つかの出来事について書かれたものである。私たちは、これらの出来事を当然の事と見なしているが、実際のところ、新聞紙に包まれた鶏と同じ位異常な出来事なのである。


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画面中央部分のアップ。実際に英文の記事が読める程細かく書き込まれています。記事の内容は、昨年マレーシアのメディアを大いに賑わしたナジブ首相の汚職疑惑や、モンゴル人モデルの殺害事件、それに携帯電話の窃盗事件を発端に起こった中国系住民とマレーシア系住民間の抗争イスラム教徒によって豚と勘違いされたウォンバットのキャラクターが撤去された事件など。更に良く見ると、記事は行列をなしたアリたちによって形作られていて、報道の持つ恣意性が示唆されているようです。


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こちらは画面左上部分のアップ。雲をつく巨人が雄鶏を後に従えて歩み去っています。良く見ると巨人は、右手にスマホを持っているようです。



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